第2回サミット内容
全国共通デザインの工業化住宅などが、地域の個性を感じさせない街並みを造り出してしまいました。一方、いまだシェア6割の住まいづくりを担う地域工務店は、それぞれ小規模で連携することも少なく、時代の新しいニーズの荒波にさらされています。今回のサミットでは、地域工務店に求められる次世代のニーズを確認し、「文化としての住まいづくり」を担う工務店の次なる戦略を学びます。
講師/三井所 清典氏 (株式会社アルセッド建築研究所所長)
住まいは元来、気候や文化、産業などその地域特有のものに育まれてきました。近代化・合理化の中で失われてきた地域にふさわしい住まいを取り戻そうと、私は各地で、住民と協働で街づくりを進めてきました。自分たちの街はみんなで協働して守る、そして、美しい日本を実現したいものです。
講師/吉田 俊道氏 (NPO「大地といのちの会」会長)
私は、長崎・佐世保を中心に、生ごみを土に還して野菜をつくる活動をしています。微生物の力を活かした野菜づくりを通じて、命のつながりを感じとろうという試みです。この活動から「地球の未来は自分の未来」と感じる子どもたちが増えています。そんな子どもたちが未来を変えていくのです。
講師/安成 信次氏 (株式会社安成工務店 代表取締役) 環境共生住宅に特化して20年。その集大成として「安岡エコタウン」を開発しました。お客様とは建築協定と環境協定を締結、山口県の森林バイオマスプロジェクトの採択を受けて、地域集中冷暖房システムの実証実験を行っています。工務店は地域に根差し、地域で認められながら、次世代の住宅を造っていかなくてはなりません。時代の要請に応え、地域に必要とされる工務店をつくっていきます。
講師/中庭 護氏 (中庭住宅株式会社 代表取締役) 「志」を掲げる経営理念を社員および協力業者に浸透させ、木造住宅に住みたいお客様に、満足いただける木造住宅をお届けすることを目指しています。現在は「光熱費ゼロ住宅」の実現を目指して、太陽光発電とエコキュートの設置などを推進。また、海岸清掃などの社会貢献活動も行っています。
講師/吉瀬 融氏 (株式会社コアー建築工房 代表取締役) 社員を叱咤激励して、一度は売上15億円達成。しかし社内は疲弊し、多くの退職者を出しました。そこで原点に立ち返り、顧客ターゲットの特化や女性を意識したブランド展開を進め、営業方法も来店型に転換しました。そして今、社員の目は輝き、私たちの家づくりに共感するお客様が集まってきています。
講師/谷口 信雄氏 (東京都環境局環境政策課 主査)
地球温暖化対策として、東京都では「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」を進めます。大企業、中小企業、家庭がそれぞれの役割と責任を担うしくみづくりが必要です。工務店には建築物の低エネルギー化への取り組みに期待します。
コーディネーター/青山俊介 (株式会社環境構想研究所 代表取締役)
パネラー/熊崎 実 (岐阜県立森林文化アカデミー学長)
パネラー/天田慎一 (国土交通省住宅局住宅生産課木造住宅振興室企画生産係長)
パネラー/谷口信雄 (東京都環境局環境政策課環境政策主査)
パネラー/山下清孝 (山口県農林水産部森林企画課森林バイオマス推進班長)
パネラー/安成信次 (株式会社安成工務店 代表取締役)
工務店は住宅建築を通じて、低CO2社会の構築に具体的に貢献できます。太陽光発電など自然エネルギーの活用、木質ペレット等の森林バイオマスエネルギーの活用、CASBEEなど行政が提供するしくみの活用など、様々な取り組みが期待されます。CO2を半減させる社会づくりは、時代のニーズです。地方工務店は地場産業の中心であり、文化をつくり上げる中心です。地域創造の主体として、強い思いを持って力を発揮してほしいと思います。
そーれ菊川:現しの化粧構造材を蓄積された経験・技術で加工するプレカット工場、安成工務店が自社開発したセルロースファイバー断熱材「デコスファイバー」の製造工場を見学しました。
安岡エコタウン:OMソーラーを備えた木の家のモデルハウス、地域集中冷暖房システムや生ごみリサイクル野菜づくりを行う「えこ畑」を見学しました。