第3回サミット内容
地球温暖化問題に注目が集まる昨今、家づくりに国産材・地域材を使い、自然素材を使うことは、もはやめずらしくなくなりました。けれども、その国産材が育つ森林に目を向けると、手入れがされておらず、皆伐され、放置され、荒れてゆく――そんな山があちこちで見られます。いま、私たちが考えなければならないのは循環する森づくりです。健康な山を守り続けるために、地域住宅会社にできることがあるはずです。私たちの祖先が遺してくれたかけがえのない自然を、未来につなぐ家づくり。それは、現代に生き、家づくりに携わる私たちの使命です。
講師/北野 大氏 (明治大学理工学部教授/工学博士)
環境問題において、いま求められているのは、便利な生活を失いたくない現世代の欲求を維持しながら、次の世代も発展への欲求を満たすことができる持続可能な社会をつくることです。私たちは、地球温暖化の原因をつくった世代とその被害を受ける世代がいるという不公平、人間以外の生き物に与える影響などをきちんと理解し、カーボンニュートラルな社会を目指さなくてはなりません。
講師/高木 善之氏 (NPO法人 ネットワーク『地球村』代表)
地球温暖化の原因は、日本をはじめとする先進国が、環境より経済発展を優先してきたことにあります。熱帯林の伐採がもたらした砂漠化など、先進国による環境破壊が途上国に与えてきた被害から目を背けてはなりません。一人ひとりが事実を知り、自分の生活を変えることが社会全体を変えていきます。
講師/吉村 良三氏 (株式会社新和建設 代表取締役) 「地域のお客様と一緒に歩みたい」その一念でCSに取り組んできました。高い品質を維持するために工夫を凝らす現場、お客様に感動を与える営業、それら全社のCS活動を支えるシステム。新和建設には、全社員と協力業者がCSに取り組むしくみがあります。ただ住宅を売るのではなく、「心」を伝えることでお客様に満足していただけるのです。
講師/阿部 一雄氏 (阿部建設株式会社 代表取締役)
住宅市場が縮小していく今後、工務店もただ家を造るのではなく、建築後の暮らしの中でお客様が求めていることをきちんと受け止めて、応えていくことが大切です。阿部建設では、担当一貫型システムやOB会組織を通じてお客様との交流を図り、信頼関係を構築しています。
講師/原田 信雄氏 (アンシン建設工業株式会社)
「仕事はお隣からいただく」をモットーに、地域密着を徹底してきました。地域の役員を積極的に務めたり、イベントを開催するなどして地域の役に立ちたいといつも考えています。お客様は必ず見てくださっています。地域に貢献しながら地域でお仕事をいただく、こんなに楽しいことはありません。
講師/熊崎 実氏 (日本木質ペレット協会 会長)
日本には豊かな森林があるにもかかわらず、有効に活用されていません。世界的な資源の不足が起こりつつある現在、日本でも自国の資源を十分に活かすことが不可欠です。建築はもちろん、バイオマスエネルギーとしても役立つ森林は、上手に活用すれば、まだまだ生産能力を高めていけるのです。
「森と住まいに関わる多くの人たちに交流を深めていただきたい」と、東濃桧をはじめとする各地の木材を展示。国産材の建具メーカーなども出展しました。
伊勢神宮の式年遷宮の用材を供給する「神宮美林」を有する、林業と製材の郷・加子母。地域の材料とともに職人が都会に出向き、東濃ひのきの家をつくる「産直住宅」を地域ぐるみで展開しています。木とともに歩んできた長い歴史を背景に、住宅会社が地域を支え、都会と山村をつなぐ――神宮美林や数々の地域にある施設を訪ねながら、その取り組みを学びました。