第4回サミット内容
「地球の会」は2005年、『国産材の家づくりを目指す工務店が全国レベルで連合した唯一の団体』として発足しました。発足当初から、私たちは「日本の森林資源の循環システムの活性化」を目標のひとつとして掲げてきました。国産材・地域材での家づくりを志しながら、仕入れコストなど流通上の課題がうまく解決できないために実践できない工務店も多い―そんな実状から一歩でも前へ進みたいと考えたのです。 それから4年。世の中では環境に対する意識が一段と高まり、地球環境の保全において森林が果たす役割への理解も少しずつ進んできたようです。また「長期優良住宅認定制度」など、長寿命で質の良い家をつくる住宅会社を評価する流れも出来つつあります。現在は、山・素材業者・製材所・工務店という一連の流れを透明化し、家づくりにおける「木材流通システムの活性化」を考える好機ではないでしょうか。 「地球の会」では今回のサミットを、木材流通のシステムの活性化を通じて、“造り手の顔が見える家づくり”をより多くの工務店が実践するきっかけにしたいと考えています。日本の森林、地域の木材を活かした木の家づくりをともに考えてまいりましょう。
講師/池田 武邦氏 (日本設計株式会社 元名誉会長) 1924年生まれ。日本初の超高層建築・霞が関ビルの設計を経て、京王プラザホテル、新宿三井ビルなど日本の超高層ビルの黎明期を築く。1974年、(株)日本設計事務所(現(株)日本設計)設立。新宿三井ビル50階にオフィスを構えて仕事をする中で人工環境の持つ根本的な問題に気づき、日本の生態に根差した建築・環境づくりに取り組む。現在は、長崎県佐世保市で茅葺き屋根の家に暮らす。主な著書「大地に建つ」(ビオシティ)
20世紀後半、先端技術の導入で建築は効率化され、街並みは画一化されました。私たちの暮らしは便利になりましたが、一方で失われてしまった文化もあります。住まいはそこに暮らす人の心を育み、世代を超えて文化を伝えていく場所です。これから100年、200年と住み継がれる家を通じて後の世代に文化を伝えるため、建築関係者がすべきことを考えます。
講師/小山 幸治 (新産住拓株式会社 代表取締役会長) 新産グループ4社は、100%国産材(天然乾燥の森林認証材)による家づくりに取り組み、グリーンコンシューマーのご理解で年間約200棟を建築しています。新産グループと山側の素材生産業者、製材所が連携して作り上げた「地域材流通システム」が、(財)日本住宅・木材技術センターの「顔の見える木材での家づくりグループ30選」に選定され、「農商工連携」、「長期優良住宅先導的モデル事業」(第1回)にも選ばれました。
講師/青山 俊介氏 (株式会社環境構想研究所 代表取締役) 1945生まれ。東京大学大学院工学系研究科修了。(株)エックス都市研究所・代表取締役を経て、2007年(株)環境構想研究所を設立、代表取締役に就任。東京大学工学部非常勤講師、廃棄物学会理事・企画委員長、(社)日本廃棄物コンサルタント協会会長などを歴任。現在(社)土木学会地球環境委員会顧問、(社)海外環境協力センター理事・運営委員長(環境省所管)、(社)日本有機資源協会副会長・運営委員長(農林・環境省)ほか、多くの環境関連事業に携わる。
地域住宅会社として、お客様の目線を惹きつけてやまない会社があります。地域材を活かす設計・デザインに重点を置く、埼玉の小林建設さま。設計にこだわるから営業マンは一人もいませんが、見学会にはいつも100組以上が来場。社員わずか11名で年間約30棟を施工しています。 サーフィン、バイク、音楽など社長の趣味のイベントを頻繁に開催するのは、福岡の長崎材木店さま。住宅にまったく関係のない趣味に没頭する社長の姿に、共感を覚えるお客様も多いそうです。遊び心を取り入れた家づくりで、気の合う仲間のようなお客様をどんどん増やしています。 いま、お客様の心をとらえるこの2社の事例を中心に、これから地域住宅会社として地域のお客様とどう向き合うべきかを考えます。
パネラー/小林 伸吾氏 (株式会社小林建設 代表取締役) 1957年埼玉県生まれ。設計事務所へ勤務後、小林建設(埼玉県児玉町)へ入社。2000年に社長に就任後は、地域材を活かし、パッシブソーラー(OMソーラー)を導入した環境共生住宅に取り組む。2007年度には地域材とOMソーラーを導入したモデルハウス『陽の栖』(群馬県高崎市)が地域工務店初のグッドデザイン賞を受賞。その後も環境・健康に配慮した住まいをテーマに「地域に根差した家づくり」を推奨している。
パネラー/長崎 秀人氏 (株式会社長崎材木店 代表取締役) 1965年、福岡県古賀市に材木屋の男三人兄弟の長男として生まれる。地元の高校大学で学生時代を過ごし、地元の建材問屋に就職、そこで物流や商流システムを学ぶ。その後、実家である長崎材木店へ就職、当初営業兼専務として分譲住宅をメインに販売企画。10年程前より注文住宅へと次第に業態変換。現在に至る。趣味は70年代の旧車、ハーレーダビッドソン、サーフィン、音楽(70年代ロック、ジャズ)。毎年、秋に福岡ロングボードコンテストを主催。エントリーは全国300名を超える。
コーディネーター/佐藤 善秀氏 (株式会社ロスコ・アールディ研究所 代表取締役) 1949年三重県伊勢市生まれ。同志社大学文学部心理学専攻卒業。1974年(株)日本マーケティング研究所入社。1994年日本マーケティング研究所グループを退社し、(株)ロスコ・アールディ研究所を設立。2002年NPO法人日本住宅管理協会理事長に就任。2005年NPO法人環境共棲住宅「地球の会」理事(事務局長)に就任。 主な著書:「販売がわかる事典」(共著)、「住宅業界の地域密着“らしさ”経営戦略」(鶴書院)、詩集「刻のきおく」(ペンネーム中瀬善秀/鶴書院)
山・製材業者・工務店が連携して、地域の天然乾燥剤をユーザーに届ける「地域材供給システム」の構築にいち早く取り組まれた新産住拓様。国産材にこだわり、周囲から何と言われても方針を曲げなかった新産住拓会長・小山幸治氏。 15歳から山林業ひと筋の泉林業社長・泉忠義氏。 製材業が相次ぎ廃業していく中、敢えて木を黙々と挽くという技にこだわった尾方製材会長・尾方猪八郎氏。3人の熱い想いから始まった100%国産材・天然乾燥の本物の木の家づくりの取り組みをご案内いたします。